一、立花のごとく草木上下の差別なし。釘、細釘にて留め、ためる事なし。葉のある花を、葉を添えずに入るべからず。さりながら、葉なきとて外の似たる葉を仮用ゆべからず。六四の花、葉は悪しし。半に入ると心得べし。水仙は四葉生ずるなれば、苦しからず。水仙は一茎宛こよりにて結いて、葉をよくひねりて入るべし。さりながら、つよくすれば、葉にひかり出でて悪しし。水仙は葉のふり第一。杜若は花のすわり第一と心得たる、よし。一葉一花は旦翁の細尺八等に入る。花葉の恰好第一なり。同じ花を二所に分け入るは悪しし。徧翁なげ入れ百花の巻物にて見るべし。尤もなげ入れに添いかえ、流しの心得用いず。根のしまり第一にて、枝・葉・花、恰好第一に入るべし。
流祖門下の渡辺好照庵が著した「流祖挿花図録」の巻物は、その名の通り流祖の入れた花を筆写したものである。
その巻物には数多くの花が描かれており、前述の通り麦穂もあいしらいに入れられ、葉の数もこだわりはみられないが、陸安集では「六四の花、葉は悪しし。半に入ると心得べし。」とあり、花や葉は奇数入れると書かれている。
水仙はその出生が四つ葉なので、その拘りなくこよりで結んで葉をひねり、その葉のふりを鑑賞するという。
また、一葉一花は旦翁の細尺八などに入れるとある。この旦翁の細尺八は「是楽」という名の竹花入で通常の尺八よりその径が細く、節は二節、裏に宗旦が「是楽 周覚公伝 旦(花押)」と書いたものを後に流祖が彫っているもので、箱には流祖が「・・秘蔵也」と認めている。
この是楽の花入はその後、この形を写す伝統が生まれた様で龍渓の写したものなど、これまでに数点拝見したことがある。
細尺八には、この是楽の形の他に花入のほぼ中央に一節入れた是楽より径の細い尺八の形が存在する。
この細尺八の形は宗旦作のものも見られるので、宗旦より始められたものと推察するが、小間の侘び茶に適うものとして流祖も事の他好まれ、それらが今日まで数多く伝来している。
