第五 炉中の灰の事 便蒙一 六左

一、口切の時、暖かなれば、炭すくなく置くゆえなり。灰多く入るるなれば、おのずから、ふところ少なく、隅も大きにするなり。春になり、風炉に揚ぐる時分も此の心得なり。末流には、十月朔日より炉、四月朔日より風炉に揚ぐるといえども、当流に構いなし、暖かならば、三月にも風炉に揚ぐる。寒しある時は、九月にても炉開くべし。さりながら寒中、暖かなりとて、風炉にするにはあらず。

風炉に揚げる時期、または炉を開く時期は不定とするというのは陸安集の至るところに見られる強調されている箇所である。
ちょうど今のような季節の変わり目を指すものだが、寒中に暖かい日があったとしても風炉にするにあらずという事は、過不及ない事が肝要なのであろう。
灰の仕様も道理に叶うもので特に述べる必要はないが、四方釜を炉に用いる際には特に懐を丸くすると、以前に述べた道具取合の「陰陽の心得」がここにも顕されている。

柚子の色づく頃、吐く息が白くなる頃が待ち遠しい。

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