一、座中、床に掛物、花あり共、其の儘置きてよし。花は前方より入れ置く。別前より入りたるように見え候わば、其の儘置くべし。客、案内を云い入れざる前近く、花を入れ、客の為にもうけたるようならば、必ず取り入れて座敷に置くべからず。此の事、当流の真意。面目なり。むりに模様を拵え、様子を取り繕う事、甚だ嫌うなり。数寄者茶人のたしなむ事、平日の心がけ、廬地掃除、座敷等にいたる迄肝要なり。唯、世の中の交りの為に、茶をするという者多し。真実の数寄なき事を、宗旦翁うらみて、
「茶の湯かと見れば数寄にはすきもせで人の為にはすくと見えけり」
当代は、湯を沸し置く人希なり。また、夫より、甚敷きを見えば、茶嫌いにて茶の湯をする者あり。酒店の下戸とは又、異るべきか、おかしき事なり。
一貫して云える事はただ一つ「平日の心掛けが大事」という事であろう。今日の茶の湯は、特別なものであるから客の為に一から準備して、客の来る時間を見計らい全てを用意する。
この文章を読むとそれがいけないという。普段、茶の用意があればあえて設えを整える必要はなく、たまたま客が来る直前に入れてしまった花であれば水屋に下げ、後座で飾るか、客が師家ならば花所望を願うものなのであろう。また同輩ならばその時々の作前で良いと思う。
しかし、常日頃の心掛けとは耳の痛い話である。
